バルーンカテーテルは、病院から福祉施設、在宅まで幅広い医療の現場で見られますね。
よく使用されているイメージですが、自身での排尿行為が困難な患者さんの排尿を助けるために一時的に使用するものです。
膀胱にカテーテルが入りますので、尿路感染・尿漏れ・カテーテルの詰まり等のトラブルが起きやすく、細心の注意をはらった確実な管理が必要とされます。
今回は、バルーンカテーテルからの尿漏れの原因と対策、カテーテルがしっかり留置できているかと詰まりはないかの確認方法について解説します。
バルーンカテーテルの尿漏れ原因とは
バルーンカテーテル留置中に起こる尿漏れの原因としては以下のものが考えられます。
尿道閉鎖不全
一般的に膀胱に尿を溜めている時には尿道括約筋が収縮して尿道がしまっています。
しかし、神経障害等が原因で尿道の締まりが悪くなってしまうことがあり、尿漏れが起きます。
カテーテルの閉塞・屈曲
尿混濁等でカテーテルがつまっている場合や、カテーテルが屈曲すると尿の流れが閉塞した状態になってしまいます。
ここで流れを失った尿がカテーテル周辺から漏れる事があります。
膀胱内圧の上昇
膀胱に何らかの病変がおきて異常に収縮し、それにカテーテルでの尿排出が対応できず、カテーテルの周囲から尿漏れが起きる事があります。
カテーテルの固定が出来ていない
カテーテルがしっかり固定されていない場合、患者さんの体動や尿の重さ等でカテーテルが引っ張られてしまいます。
徐々にカフが抜け、尿漏れや自然抜去が起こりやすくなります。
バルーンカテーテルの尿漏れ対策と留置チェック
上記で紹介した尿漏れの原因の対策を紹介します。
尿道閉鎖不全の対策
この場合は、カテーテルでの管理をしていくのは難しいでしょう。
オムツで尿失禁を受けるようにするか、薬物療法等で尿道の締まりを悪くしている原因を治療する必要があります。
カテーテルの閉塞・屈曲の対策
カテーテルの屈曲を改善する、又はミルキング等による閉塞対策を行う必要があります。
閉塞がひどい場合は、カテーテル交換が必要です。
膀胱内圧の上昇の対策
カテーテル管理を続行しなくてはいけない場合は、抗コリン薬で膀胱収縮のコントロールをする必要があります。
カテーテルの固定が出来ていないことへの対策
カテーテルを確実に固定します。
固定方法は、陰部を傷つけてしまわないように、陰部の形状で男女の違いがあります。
男性は、陰茎が上に向くように下腹部に固定、女性は大腿部に固定します。
カテーテルが留置されているかどうかの確認方法を紹介します。
・カテーテルをゆっくり引き、しっかりとカフ部分でひっかかりがあることを確認する。
・膀胱を少し押し、尿の流出があることを確認する。
この方法は、時間をかけて確認出来る際は、時間の経過とともに尿を溜める袋に尿が増えているのを確認する方法でもいいです。
正常に尿が流れ出ているという事実が、カテーテルが留置されていることを示す根拠になります。
バルーンカテーテル詰まりの確認方法
詰まっているかどうかの確認方法を紹介します。
尿の流れが悪い場合、まずカテーテルが屈曲していないか等を確認し、それでも改善しなければミルキングをしてみてください。
それで流れがよくなれば、詰まりかけていたことになります。
確実に確認をする際は、カテーテルのフラッシュを行います。
方法は以下の通りです。
1、清潔な手袋を着用し、バルーンカテーテルと採尿バックの管を外します。
外した後は採尿バックのカテーテルの先端が不潔にならないように清潔なガーゼでくるんでおきましょう。
2、バルーンカテーテルの出口先端を消毒し、生食をカテーテルチップに50ml吸って、バルーンカテーテルに接続、生食を注入します。
3、再度バルーンカテーテルと採尿バックの管の接続部分を消毒してからつなぎます。
この一連の作業を行い、生食を注入した際に抵抗があるかどうか、生食がはいっていくかどうか確認。
注入後に注射器を引いて、注入した生食がほとんどかえってくるか、その際にでてきた液体の性状(混濁の有無など)を観察します。
生食がスムーズに入って、帰ってくるようなら詰まり等の問題はないです。
生食が入らない場合や、帰ってこない場合は、カテーテルが詰まっていますので、交換が必要です。
まとめ
バルーンカテーテル留置時の尿漏れの原因と対策、しっかり留置されているか、詰まりはないかの確認方法を解説しました。
今回紹介した方法を参考に、バルーンカテーテルの確実な管理を行っていただけたら幸いです。
最後に、バルーンカテーテルの留置は、患者さんに異物を挿入しているということです。
どんなにしっかりと管理を行っても、長期に留置すればするほど尿路感染症等のトラブルは回避出来ません。
必ず、定期的に患者さんの状態やADLのアセスメントを行い、バルーンカテーテルを留置しておく必要があるのかどうかの検討しましょう。
可能な限り早期に抜去が出来るような関わりをする必要があることを忘れないで下さいね。