日本で日常的に使用される数字には、漢数字・アラビア数字(算用数字)・ローマ数字などがあります。
しかし、卒業論文やレポートを書くときに「数字は漢数字と算用数字のどちらを使うべき?」と迷うことはありませんか。
実は論文では、内容や場面によって数字の表記を使い分けるのが一般的です。
この記事では、論文での漢数字と算用数字の使い分け方や、縦書きで数字を書く場合のルールについて分かりやすく解説します。
論文の数字は漢数字?算用数字?使い分けの基本
論文を書く際、まず大前提として覚えておきたいのが、「縦書きか横書きか」によって基本となる数字が決まるという点です。
現在、大学の卒業論文や学術論文の多くは「横書き」で作成されますが、文学部や歴史学、法学系などの分野では依然として「縦書き」が指定されることも少なくありません。
まずは、それぞれのスタイルで使われる数字の種類を確認しておきましょう。
- 漢数字:一、二、三、十、百 など
- 算用数字(アラビア数字):1、2、3、0 など
- ローマ数字:Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ など
論文における表記の鉄則は、「縦書きなら漢数字」「横書きなら算用数字」です。これをベースに、それぞれの特徴を見ていきましょう。
漢数字を使う場合
日本の伝統的な記述様式である「縦書き」の論文では、漢数字を用いるのが基本です。
古くから日本の文章は、漢字とひらがな、そして漢字の一部である漢数字で構成されてきました。古い戸籍謄本や古文書、あるいは現代の小説や新聞の縦書きコラムなどを見れば、漢数字が自然に使われているのがわかります。
縦書きの文章の中に算用数字(123…)が混じると、数字だけが横を向いているような違和感が生じ、視覚的なリズムが崩れてしまいます。そのため、縦書き論文では特別な理由がない限り、漢数字(一、二、三…)を選択するのがマナーです。
× 論文の第1章
算用数字(アラビア数字)を使う場合
現在の学術論文で主流となっている「横書き」の論文では、算用数字(1, 2, 3…)を使用するのが一般的です。
算用数字はアルファベットと共に幕末から明治の頃に広く使われ始めました。アルファベットは横に書き進める文字であるため、それと相性の良い算用数字も横書きで定着したという背景があります。
特に理系論文や社会科学系の論文では、数式や統計データ、西暦などを扱うことが多いため、半角の算用数字を使うことで紙面が整理され、読みやすさが格段に向上します。
横書き論文であっても、「一石二鳥」などの熟語や、数字そのものに意味がある固有名詞などは漢数字を使います。このあたりの細かい「使い分けルール」については、次の章で詳しく解説します。
論文で漢数字と算用数字を使い分けるルール
論文において、漢数字と算用数字をどのように使い分けるべきか、その具体的なルールを整理します。
横書きの論文であっても、すべてを算用数字(1, 2, 3…)にすればよいわけではありません。漢字の一部として機能している数字や、慣用的な表現については、横書きでも「漢数字」を使うのがマナーです。
1.熟語や慣用句・ことわざ
数字が言葉の一部として固定されている「熟語」や「慣用句」の場合は、横書きでも漢数字を使用します。
- 四字熟語:一石二鳥、七転八起、千客万来
- 慣用句:二の足を踏む、三日坊主、十中八九
- 言葉の一部:第一歩、第三者、独り言
2.固有名詞や特定の名称
地名や歴史的な出来事、人名などの「固有名詞」に含まれる数字も、原則として漢数字のまま表記します。
- 地名:四国、九州、六本木、八王子
- 歴史用語:第一次世界大戦、二・二六事件、五箇条の御誓文
- その他:第二会議室、二松學舍大学
3.概数(おおよその数)を表す場合
はっきりとした数値ではなく、「だいたいこれくらい」というニュアンスで数字を使う場合、漢数字が好まれます。
- 例:「数十人」「数百万人」「数千万」
また、大きな数字を表記する際、「150,000,000円」と書くよりも「1億5,000万円」のように、単位(万、億、兆)に漢数字を混ぜることで、桁の読み間違いを防ぎ、可読性を高めることができます。
算用数字(アラビア数字)を優先すべきケース
一方で、客観的なデータや測定値を示す際には、算用数字を優先して使用します。
- 数量・測定値:50g、100メートル、25パーセント
- 日付・時刻:2026年4月6日、15時30分
- ページ数・章番号:第3章、125ページ
大切なのは、一つの論文の中で「この場合は漢数字」「この場合は算用数字」というルールを統一することです。読みやすさに重点を置き、表記が混在して読者を混乱させないよう注意しましょう。
論文を縦書きで書く場合の数字の書き方
論文を縦書きで執筆する際、最も悩ましいのが「算用数字(1, 2, 3…)をどう扱うか」という点です。
論文の書き方マニュアルなどで明示されている場合はそれに従いますが、基本的には「漢数字」を用いるのが原則です。ただし、専門用語や特定の数値などで、どうしても算用数字を使わざるを得ない場合の具体的なルールを確認しておきましょう。
算用数字の縦書きの書き方
論文以外の一般文書でも、縦書きに算用数字を使う必要があるときは、数字の「桁数」によって見た目を調整するのが一般的です。
- 1桁の場合:「1」「5」のように全角数字を使い、1文字分のスペースに配置します。
- 2桁の場合:半角数字2つ(例:85)を一文字分のスペースに横に並べて収めます。これは「縦中横(たてちゅうよこ)」と呼ばれる技法です。
- 3桁以上・小数の場合:152であれば「1」「5」「2」と全角で縦に並べるか、可読性を優先して「百五十二」と漢数字に書き換えるのが無難です。253.44などの小数の場合も、基本的には全角で1文字ずつ縦に並べます。
これらは「読みやすさ」に重点を置いたルールです。同じ論文内では表記がバラバラにならないよう、必ず統一して表記しましょう。
第1章
【2桁の場合】
第85章(縦中横)
【3桁以上の場合】
第152頁
【小数の場合】
253.44
ローマ数字は縦書きで使える?
検索クエリでも非常に多い「ローマ数字(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ…)」の縦書き利用についてですが、結論から言うと、縦書きの論文での使用は避けるのが無難です。
ローマ数字はもともと欧米の横書き文化の中で生まれた記号です。そのため、縦書きの中に配置すると視認性が著しく低下し、論文としての体裁も崩れやすくなります。章立てなどで数字を使いたい場合は、以下のように漢数字へ変換するのが正しい作法です。
- ローマ数字(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ) → 漢数字(一、二、三 / 第一、第二、第三)
もし指導教官から「章立てはローマ数字で」と指定があり、かつ論文自体が「縦書き」という特殊な状況であれば、全角のローマ数字を1文字ずつ縦に並べますが、基本的には漢数字への置き換えを第一に検討してください。
縦書きの文章では、日付や住所など数字を書く場面が多くあります。
数字の書き方は、縦書きか横書きかによってもルールが変わることがあります。縦書きの数字表記について詳しく知りたい場合は、次の記事も参考にしてください。
なお、ゼロを漢字で書く場合の表記については、こちらの記事も参考になります。
ゼロを漢字で書くと?〇と零の違い|ご祝儀袋・郵便番号・住所の縦書き
まとめ:論文の数字は「統一感」が最も重要
論文における数字の書き方は、まず「縦書きか横書きか」という大きなルールに従うことが基本です。
- 縦書き論文:原則として「漢数字」を使用する。
- 横書き論文:原則として「算用数字(アラビア数字)」を使用する。
- 使い分け:熟語や固有名詞(一石二鳥、四国など)は、横書きでも漢数字。
- 縦書きの算用数字:2桁なら「縦中横」、3桁以上や小数は全角で1文字ずつ縦に並べるか、漢数字を検討する。
論文の中で数字の取り扱いについて具体的な「執筆規定」がある場合は、当然そのルールが最優先されます。もし規定がない場合は、今回ご紹介した一般的なマナーを基準にし、読者がストレスなく読み進められる形を選択しましょう。
何より大切なのは、「論文全体で表記を統一すること」です。
同じ意味を持つ数字が、ある箇所では「10」と書かれ、別の箇所では「十」と書かれていると、読者は混乱し、論文そのものの精緻さ(正確さ)に疑問を持たれてしまうかもしれません。
書き終えた後には必ず全体を読み返し、数字の表記がバラバラになっていないか、自分なりの「ルール」が守られているかをチェックしてみてください。