お寺で僧が監視している中で、坐禅を組み瞑想しているシーンを、TVなどで見かけることがあります。
また、姿勢が乱れると肩をバシッと木の板で叩かれて、ちょっと痛そうですね。
禅寺では坐禅会を開催し、一般の人々にも精神鍛錬として坐禅を指導していることもあり、ちょっとした坐禅ブームにもなっています。
その禅寺と禅宗について、わかりやすく解説をします。
禅寺とはそもそも何?
一般的に、坐禅により悟りを得る修行を中心に行う寺院のことを言い、坐禅を行わない寺のことを禅寺とは言いません。
日本では、臨済宗、曹洞宗、黄檗宗の寺が、総称的な意味で禅寺と言われています。
禅寺では、坐禅会を開催している寺院もあるので、興味のある方は体験してはいかがでしょうか。
詳しくは、上記坐禅のできるお寺検索・公式サイト曹洞ネットを参考にしてみてください。禅宗とはなにかを簡単に解説
禅宗は仏教の一派であり、南インド出身の達磨大師が中国に伝えたもので、坐禅を修行することによって心の本性が明らかになり悟りが得られるとするものです。
また仏教の教えには、仏の偉大さにすがることで救いを得る「他力本願」の考え方と、自力で修業することで偉大な仏に近づいていくという「自力本願」という考え方があります。
禅宗は、自力本願の考え方であり、日本の仏教の中で最も釈迦の考える仏教に近いと言われています。
禅宗の宗派で有名なものは?
日本の禅宗には、臨済宗(りんざいしゅう)、曹洞宗(そうとうしゅう)、黄檗宗(おうばくしゅう)があります。
・臨済宗・・・
鎌倉時代初期に中国へ渡った「栄西」によって日本に伝えられました。
師匠から弟子への悟りの伝達(法嗣、はっす)を重んじており、現在も続いている鎌倉仏教の一つです。
お祖師様方の言葉や行動を収録した「公案」を中心に取り組みながら、坐禅をして悟りを目指します。
鎌倉幕府・室町幕府と結びつきが強く、時の武家政権に指示され、政治・文化に重んじられました。
有名な寺院としては、建長寺・円覚寺・建仁寺・天龍寺・南禅寺などがあります。
アニメなどで人気のある「一休さん」も臨済宗の僧侶です。
・曹洞宗・・・
鎌倉時代初期に中国に渡り印可を得た、「道元」によって日本に伝えられました。
曹洞宗の坐禅は、「修証一如、只管打坐」という、悟りと修行は同一のもの、悟りを目指して坐禅をするのではなく、坐禅の姿そのものが悟りの姿であると教えます。
臨済宗が通路の方を向いて坐禅するのに対して、壁の方を向いて座っているのが曹洞宗です。
臨済宗は武家政権に支持されましたが、曹洞宗は地方豪族や一般民衆の支持を集めました。
宗派としては一つですが、永平寺、総持寺の二大本山があります。
・黄檗宗・・・
江戸時代に始まった宗派で、中国から来日した「隠元隆琦」を開祖とし、教義・修行・儀礼・布教は臨済宗と同じとされています。
明治政府が禅宗を臨済宗、曹洞宗の二宗と定めたため、臨済宗黄檗派に改称させられましたが、その後臨済宗から独立しました。
お経の時にポクポク叩く木魚を伝えたと言われています。
有名寺院は、萬福寺、大年寺、東光寺などがあります。
まとめ
日本には、正式に「禅宗」という宗派はありません。
宗派としては臨済宗、曹洞宗、黄檗宗の三つが独立した宗派です。
ただし、坐禅をする宗派としてまとめてわかりやすくするため、おおまかに禅宗と言われているのが現実のようです。