現在の日本で、乳児に飲ませているのは粉ミルクですが、その他に乳児用液体ミルクの製造販売ができるようにするため、厚生労働省が「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」を2018年8月7日に改正し、8日に施行されました。
液体ミルクは、粉ミルクよりも使いやすく、防災グッズとして活用できるということで、製造・販売の解禁が求められていました。
その液体ミルクは何故今まで、日本では流通していなかったのでしょうか。
また液体ミルクのメリットとデメリットについて、ご紹介します。
液体ミルクの解禁はなぜ今?
日本の食品衛生法では、乳児対象の粉ミルクについては「乳等省令」によって規定していましたが、乳児対象の液体ミルクは個別に規定していませんでした。
そのため、液体ミルクは乳飲料に分類されるだけで、乳児用ミルクではなかったのです。
ただし、液体タイプでの製造・販売が禁止されていたわけではなかったのでした。
ところが、今まで国内で液体ミルクは製造・販売されていないのが実態でした。
メーカーが製造・販売しなかった理由は、液体ミルクの規格基準が無かったのと、製造・販売に関して粉ミルクよりコストがかかり、利益が少ないことなどが理由と言われています。
それが平成23年の東日本大震災や平成28年の熊本地震で、海外からの援助物資の中に液体ミルクがあり、災害時に活用できる利便性の良さが注目され、必要性が本格的に議論されるようになりました。
そして日本乳業協会が提出した検査結果を基に、厚生労働省が乳製品としての成分や基準を定め、乳児用液体ミルクとして、製造・販売できるように省令改正したわけです。
液体ミルクを防災グッズとして考える
災害時には乳児も多く被災し、母親がストレスで母乳が止まる、お湯や哺乳瓶も無いなど、授乳に苦慮することが多く発生します。
親としても乳児に対して、大変心配なことですよね。
このようなときに、熊本地震で駐日フィンランド大使館から、救援物資として液体ミルクが配布され、使いやすさや保存のしやすさで、被災地で多いに役立ち歓迎されました。
そのため、乳児用の防災グッズとして活用できるように、日本でも液体ミルクの製造・販売を積極的にしてほしいとの要望が多くなったのです。
確かに乳児のいる家庭では、防災グッズとして必要だと思います。
液体ミルクのメリットとデメリット
液体ミルクのメリット
・開封後、すぐに乳児に与えることができる。
・時間に関係なく授乳できる。
・母親以外でもすぐに授乳できる。
・粉ミルクを扱えない人も授乳できる。
・お湯で温めたり、冷やしたりする必要がない。
・お湯を沸かせる環境が無くても、授乳できる。
・粉ミルクの授乳に、かかる時間や負担を減らすことができる。
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液体ミルクのデメリット
・粉ミルクと製造方法が異なるので、栄養成分の減衰や栄養成分に違いが出ることがある。
・粉ミルクよりも数倍値段が高くなる。
・災害グッズとしての需要だけだと、事業として継続するのは難しい。(事業利益が少ない)
・常温で飲ませることに抵抗がある。
・開封後の保存期間は、粉ミルクが約1カ月で、液体ミルクは約2日。
まとめ
液体ミルクは、メリットデメリットを理解し、使用環境に応じて粉ミルクと併用するのが良い方法だと思います。
実際に液体ミルクが流通するのは、約半年から1、2年かかると言われています。
それまでに海外の液体ミルクを通販などで購入し、試してみるのも良いでしょう。